<<<前回の投稿『Bergen 2/5 〜 フロイエン山からブリッゲンへ。山で転んで怪我。』はこちら
ホテルの一階で盛り上がりつつあるサッカー観戦のどんちゃん騒ぎをよそに、ベッドに入った瞬間に深〜い眠りに落ちた。夜中に何度か目覚め(哀しいかな。もうこれは数年前からのルーティンとなりつつある。)、その度に洗面所の水道水をごくごくと飲んでベッドに戻りを繰り返したが、朝の5時前にはバッチリと目が覚めた。
旅の疲れは溜まっていたもののたっぷりと睡眠時間は取れたし、なんと言ってもこの日のためにロンドンの滞在を切り上げ、初めてのノルウェイなのにオスロには目をくれることもなくベルゲンまで飛んできたのだ。
P-hotelsの朝食は、オレンジジュースとサンドイッチのセットがドアノブに掛けられているスタイルで知られているらしい。バイキング形式と比べると、食堂まで行く必要がないし、食べ終えるまでの時間が劇的に短縮されるよね。と、ポジティブな面だけを見ていれば心温まる朝食ではある。
昨日ベルゲン駅で受け取った『Norway in a nutshell(公式サイト)』のチケット。Norway in a nutshellとは要するにフィヨルドを巡るツアーのブランドで、各ルートで利用する電車とバスと船のチケットがセットで買えるのが利点。現実的には、よほどタフなツーリストでない限り、ここを利用せずに自力で全てのチケットを調べて個別に買うのは現実的じゃないと思う。
Norway in a nutshellにはベルゲン~オスロやオスロ~ベルゲンなど様々なルートがあるが、電車も船も本数が少ないので「自分の都合に応じてルートや時間帯を柔軟に組み合わせる」といったことは難しい。
当初はオスロ~ベルゲンの片道ルートでベルゲン急行を満喫しようとも考えたが、2日間のノルウェイ滞在でホテルを変えながら移動するのはあまりにキツイと思ったのでベルゲン発着のルートを選んだ次第。
ベルゲン発着のルートはフィヨルドを左右逆に回る2ルートが用意されているが、今回はベルゲンを遅く出て早く帰って来られる(つまり現地での自由時間が少ない)「Bergen - Voss - Gudvangen - Flåm - Myrdal - Bergen」ルートをチョイスした。
ちなみにタイムテーブルはこんな感じ。
各乗り物の間がかな~りタイトで、一番長いフラムで50分。ほとんど何か乗り物に乗っていることになるというハードな一日だ。
ここが小便小僧の発祥の地かと思いきや、魚類から水攻めにあう少年の像であった。イクラを食べ過ぎてはいけないという戒めなのかもしれない。
人もまばらな早朝のベルゲンを駅に向かって歩く。
ベルゲン駅は改装工事中だった。
フィヨルドツアーの案内板も無ければ係員も立っていないので、電光掲示板の出発時刻と電車の行き先案内板からこの電車ではないかと推測する。
車両の窓にはところどころ「Reserved」という貼り紙が付いているが、手元のチケットには予約番号も席の指定も何も書かれていないので、「果たしてこの電車に乗っても良いのか?」と不安になる。しかしその貼り紙には、2つの駅名が書かれてあったので「その区間だけその席が指定席になるのであろう」と推察して、貼り紙のない車両に乗り込んだ。
結果的にその選択が正解であったが、その後の旅程でバスや船に乗り込む度に同じような判断をしなければならなかった。つまり、いちいち説明が(日本の感覚では)不足しているのだ。
Voss駅を目指して走り出した電車の車内は、土曜日にもかかわらず空席が多かった。ベルゲンを離れて長いトンネルを抜けると、唐突に木々と水が織りなす雄大な景色があらわれた。
ネット上ではどちらの座席に座るかが重要だという情報を見かけたが、進行方向に向かって左側が川や湖などダイナミックに変わりゆく景色を楽しめたと思う。
Voss駅までは1時間13分。このぐらいの時間だと、ぼんやりと車窓を眺めていても飽きずに楽しめる。
小さなVoss駅でどっと乗客が降りた。14分後にバスが出るので、のんびりと散策などしているヒマはない。駅舎の向こう側にバスが2台停まっていたが、電車から降りた人数はとても2台では乗り切らないほど多いので、みんな「えっ?早い者勝ち?」と書かれた顔をキョロキョロさせている。その中の(たぶん)血の気の多い人々がバスに向かって走り始めたが、多くの人は悠然と立ったままである。その人達を眺めながら「きっと全員バスに乗ることができるのだろう」という気持ちになる。
誰もバスに置いて行かれることのない未来の安寧を告げ、整然とバスを待つべき位置へとツアー客を導く使命を帯びた係員は一人もいない。
この不安を共有する相手もいないので、「何とかなるさ」と周辺の美しい稜線を撮影していると、「そんなに慌ててどうしたの?」みたいな顔つきをした大型バスが3台ほど連なって現れた。出発予定時刻に間に合っているので悪びれる様子は全くない。(当たり前だ)
スーツケースとともに移動しているツアー客達が大型バスの腹に荷物を預けている間に、手ぶらの僕はバスの一番前の席に陣取った。
真っ黒なサングラスを掛けた恰幅の良い女性ドライバーが、大きなバスを軽快に走らせていく。その水がどこから流れてくるのかわからないが、豪快な水流を伴った滝がたまに出現する。もしこの規模の滝が日本にあったら間違いなく大きな駐車場と食堂と土産物店を備えた観光スポットになると思うけど、ここでは「そうなんですよ。どわっと流れてますよね」ぐらいのテンションで滝が佇んでいる。
はじめはバスのガラス越しにシャッターを切りまくっていたが、途中からは重力に逆らえずに落ちる水(滝だ)の価値がインフレを起こしてしまい、あっという間に「滝って一定の間隔で山肌に現れるもんだよね〜」という存在になってしまった。
とは言え、峻険な峰から注がれる水が束になって岩を削り、ほとばしりが霧散するその今際の際に虹を湛えてるとなれば写真を撮りたくなるというもの。
ここがバスルートのハイライトかもしれない。山肌を這う急峻な勾配に沿って、あまりにも半径が小さいタイトコーナーが連続するワインディングロードを、図体の大きなバスのタイヤが道路の内側と外側のギリギリに迫りながら降りてゆく。
ドライバーは心得たもので、このアングルで「さ〜写真を撮りなさいよ」と言わんばかりにバスを停めてくれる。
じりじりと谷底に降りたら、あとはグドヴァンゲンへ続く道路をひた走るのみ。
やって来ましたグドヴァンゲン。船に乗り込めば、ここからが本当の“フィヨルドツアー”だ。
>>>『Bergen 4/5 〜 Norway in a nutshellでフィヨルドツアー。グドヴァンゲンからフロム。』につづく。
ホテルの一階で盛り上がりつつあるサッカー観戦のどんちゃん騒ぎをよそに、ベッドに入った瞬間に深〜い眠りに落ちた。夜中に何度か目覚め(哀しいかな。もうこれは数年前からのルーティンとなりつつある。)、その度に洗面所の水道水をごくごくと飲んでベッドに戻りを繰り返したが、朝の5時前にはバッチリと目が覚めた。
旅の疲れは溜まっていたもののたっぷりと睡眠時間は取れたし、なんと言ってもこの日のためにロンドンの滞在を切り上げ、初めてのノルウェイなのにオスロには目をくれることもなくベルゲンまで飛んできたのだ。
P-hotelsの朝食は、オレンジジュースとサンドイッチのセットがドアノブに掛けられているスタイルで知られているらしい。バイキング形式と比べると、食堂まで行く必要がないし、食べ終えるまでの時間が劇的に短縮されるよね。と、ポジティブな面だけを見ていれば心温まる朝食ではある。
昨日ベルゲン駅で受け取った『Norway in a nutshell(公式サイト)』のチケット。Norway in a nutshellとは要するにフィヨルドを巡るツアーのブランドで、各ルートで利用する電車とバスと船のチケットがセットで買えるのが利点。現実的には、よほどタフなツーリストでない限り、ここを利用せずに自力で全てのチケットを調べて個別に買うのは現実的じゃないと思う。
Norway in a nutshellにはベルゲン~オスロやオスロ~ベルゲンなど様々なルートがあるが、電車も船も本数が少ないので「自分の都合に応じてルートや時間帯を柔軟に組み合わせる」といったことは難しい。
当初はオスロ~ベルゲンの片道ルートでベルゲン急行を満喫しようとも考えたが、2日間のノルウェイ滞在でホテルを変えながら移動するのはあまりにキツイと思ったのでベルゲン発着のルートを選んだ次第。
ベルゲン発着のルートはフィヨルドを左右逆に回る2ルートが用意されているが、今回はベルゲンを遅く出て早く帰って来られる(つまり現地での自由時間が少ない)「Bergen - Voss - Gudvangen - Flåm - Myrdal - Bergen」ルートをチョイスした。
ちなみにタイムテーブルはこんな感じ。
各乗り物の間がかな~りタイトで、一番長いフラムで50分。ほとんど何か乗り物に乗っていることになるというハードな一日だ。
ここが小便小僧の発祥の地かと思いきや、魚類から水攻めにあう少年の像であった。イクラを食べ過ぎてはいけないという戒めなのかもしれない。
人もまばらな早朝のベルゲンを駅に向かって歩く。
ベルゲン駅は改装工事中だった。
フィヨルドツアーの案内板も無ければ係員も立っていないので、電光掲示板の出発時刻と電車の行き先案内板からこの電車ではないかと推測する。
車両の窓にはところどころ「Reserved」という貼り紙が付いているが、手元のチケットには予約番号も席の指定も何も書かれていないので、「果たしてこの電車に乗っても良いのか?」と不安になる。しかしその貼り紙には、2つの駅名が書かれてあったので「その区間だけその席が指定席になるのであろう」と推察して、貼り紙のない車両に乗り込んだ。
結果的にその選択が正解であったが、その後の旅程でバスや船に乗り込む度に同じような判断をしなければならなかった。つまり、いちいち説明が(日本の感覚では)不足しているのだ。
Voss駅を目指して走り出した電車の車内は、土曜日にもかかわらず空席が多かった。ベルゲンを離れて長いトンネルを抜けると、唐突に木々と水が織りなす雄大な景色があらわれた。
ネット上ではどちらの座席に座るかが重要だという情報を見かけたが、進行方向に向かって左側が川や湖などダイナミックに変わりゆく景色を楽しめたと思う。
Voss駅までは1時間13分。このぐらいの時間だと、ぼんやりと車窓を眺めていても飽きずに楽しめる。
小さなVoss駅でどっと乗客が降りた。14分後にバスが出るので、のんびりと散策などしているヒマはない。駅舎の向こう側にバスが2台停まっていたが、電車から降りた人数はとても2台では乗り切らないほど多いので、みんな「えっ?早い者勝ち?」と書かれた顔をキョロキョロさせている。その中の(たぶん)血の気の多い人々がバスに向かって走り始めたが、多くの人は悠然と立ったままである。その人達を眺めながら「きっと全員バスに乗ることができるのだろう」という気持ちになる。
誰もバスに置いて行かれることのない未来の安寧を告げ、整然とバスを待つべき位置へとツアー客を導く使命を帯びた係員は一人もいない。
この不安を共有する相手もいないので、「何とかなるさ」と周辺の美しい稜線を撮影していると、「そんなに慌ててどうしたの?」みたいな顔つきをした大型バスが3台ほど連なって現れた。出発予定時刻に間に合っているので悪びれる様子は全くない。(当たり前だ)
スーツケースとともに移動しているツアー客達が大型バスの腹に荷物を預けている間に、手ぶらの僕はバスの一番前の席に陣取った。
真っ黒なサングラスを掛けた恰幅の良い女性ドライバーが、大きなバスを軽快に走らせていく。その水がどこから流れてくるのかわからないが、豪快な水流を伴った滝がたまに出現する。もしこの規模の滝が日本にあったら間違いなく大きな駐車場と食堂と土産物店を備えた観光スポットになると思うけど、ここでは「そうなんですよ。どわっと流れてますよね」ぐらいのテンションで滝が佇んでいる。
はじめはバスのガラス越しにシャッターを切りまくっていたが、途中からは重力に逆らえずに落ちる水(滝だ)の価値がインフレを起こしてしまい、あっという間に「滝って一定の間隔で山肌に現れるもんだよね〜」という存在になってしまった。
とは言え、峻険な峰から注がれる水が束になって岩を削り、ほとばしりが霧散するその今際の際に虹を湛えてるとなれば写真を撮りたくなるというもの。
ここがバスルートのハイライトかもしれない。山肌を這う急峻な勾配に沿って、あまりにも半径が小さいタイトコーナーが連続するワインディングロードを、図体の大きなバスのタイヤが道路の内側と外側のギリギリに迫りながら降りてゆく。
ドライバーは心得たもので、このアングルで「さ〜写真を撮りなさいよ」と言わんばかりにバスを停めてくれる。
じりじりと谷底に降りたら、あとはグドヴァンゲンへ続く道路をひた走るのみ。
やって来ましたグドヴァンゲン。船に乗り込めば、ここからが本当の“フィヨルドツアー”だ。
>>>『Bergen 4/5 〜 Norway in a nutshellでフィヨルドツアー。グドヴァンゲンからフロム。』につづく。