<<<前回の投稿『Tokushima&Kagawa 4/5 ~ 『山下うどん』と夜の徳島市内』はこちら
三連休の最終日。鳴門の渦潮を観潮船に乗って観たら、あとは大阪空港までドライブをして帰るだけだ。
この旅を終えてから1ヶ月半以上経つのに、仕事が忙しくなってしまってまだ書き終えられず、前回の投稿は欧州出張の往路のコペンハーゲン行きの機上で書き(投稿できたのはホテルでだが)、この投稿は出張最終日の前日のストックホルムでやっと書き始めた。
村上春樹が『ノルウェイの森』をギリシャとイタリアの小島で書いたことが、少なからず作品に流れるトーンに影響を与えているように、この讃岐うどんと渦潮のことも夏が始まったばかりの北欧の空気の薫りが・・・な〜んて書くとエラくかっこ良すぎるが、渦潮のことも淡路島のことも少しずつ忘れているので、あらかじめエクスキューズということで。
朝飯はご当地グルメの「とくしまバーガー(Wikipedia)」を食べることに。
ホテル近くの交差点に立って何気なく空を見上げたら、デビルマンがアニメのエンディングテーマと同じようにビルの上に座っていた。
「とくしまバーガー」のオフィシャルサイトには認定店のリストが掲載されているが、近所には認定店がなかったのでGIGAZINEの記事を読んで、開店直後のこちらの店へ。
こちらが「とくしま両国バーガー」。
昔ながらの喫茶店という表現がピッタリのノスタルジックな店内には、近所の老人たちの他に常連らしき西洋人のカップルがいたりして、何だか不思議な雰囲気だった。
さっさと食べ終えたらホテルに戻って出発の準備をする。この日は大潮で、昼過ぎに干潮を迎えるとあって大きな渦潮が期待できるのだから、できるだけそのタイミングに間に合わせたい。
道路が空いていたので、干潮の1時間以上前に鳴門観光汽船(公式サイト)の乗り場に到着したが、すぐに乗れる便を1本スキップして干潮タイムにドンピシャな便を待った。
この会社は趣向の異なる2種類の観潮船を運行しているが、今回はガラス越しに水中から渦潮を観られる「アクアエディ」(写真右)ではなく、「わんだーなると」(写真左)をチョイスした。初めての渦潮なので、上からしっかりとグルグルを確認したいので。
なかなか未来的なフォルムの船。瀬戸内海の透き通った海も美しい。
チケット売り場では気付かなかったんだけど、「わんだーなると」は1階が2等で2階が1等船室に分かれている。1等船室の料金は2等(通常料金はこちら)に+1,000円である。1等料金は船に乗り込んでからも現金で買うことができるので、じっくりとグルグルを渦巻きを観察したいオトナは迷わず1等船室をオススメする。
まず物理的な高さのある2階の方が渦巻きの全貌を見やすいし、1階はとにかく混んでいるのでポジションの確保に難があると思う。
静かに出港。強大な渦巻きに引き込まれず無事に帰還できることを祈りつつ。
すぐに大鳴門橋が見えてくる。
大鳴門橋の真下に来る頃には、海面のあちらこちらで白い泡状の海水がザワザワと不規則に動き始めていた。この下では大量の海水がぶつかり合っているのだろう。
まるで豪雨の後の川の流れのように、物凄いスピードで海水が動いている。
ちょうど大鳴門橋の真下で海水がぶつかるようで、大鳴門橋にはガラス張りの床から渦潮を観られる海上遊歩道『渦の道(公式サイト)』がある。
ザワついていた海面の一部に渦巻きが見え始めた。
どどーん!完全な渦巻きが姿を現した。画面奥の船と比べると、その大きさがよ〜くわかる。
渦潮に最接近!!
70mm(フルサイズ)のズームでこのぐらいの大きさに見える程の距離。「落ちたら絶対に死ぬだろうな」なんてことなど考えるヒマもなく夢中でシャッターを切り続けた。
渦潮は生き物のように絶えずその形を変え続ける。
観潮船は位置や向きを忙しなく変えながら、様々な表情の渦潮を見せてくれる。
大鳴門橋の下にいたのは10分ほどだった。渦潮に嬌声を送る乗客たちに構うこと無く、船はさっと港に舳先を向けて渦潮からぐいぐいと離れていった。
港に着いたらすぐにクルマに乗り込み大阪空港を目指す。三連休の最終日とあって高速道路の渋滞が心配だが、腹が減ったのでどこかでランチは取っておきたい。
大鳴門橋の徳島県サイドでは、飲食店が少なかったので淡路島へ渡ることにした。
大鳴門橋で淡路島に渡ってすぐに高速を降りた周囲に飲食店がいくつかあったのだが、駐車場に入るための行列が長く伸びていたので、淡路島の南端にある道の駅へと進路を変更してみた。
道の駅に来てみたら・・・こちらも大混雑しており、随分と手前の駐車場に停めさせられてシャトルバスで移動というシステムになっていた。
これでは何時に食べられるかわからないし、フライトにも間に合わなくなる。食べログをチェックしたら、海岸線沿いに北上した周辺にいくつか飲食店がありそうなので、ダメ元で再び移動することに。(写真はシャトルバスに乗るのを諦めた駐車場から)
10分ほどクルマで移動して食べログにマッピングされた地点で辺りを見回すと・・・そこには民宿が立ち並んでいた。どうやら民宿で供される料理の評価のようだ。この周囲は諦めて、さらに北へと進んだところに1軒だけポツンと示された『竹谷食堂』まで行くことにした。名前から察するに民宿ではあるまい。問題は祝日に営業しているかどうかだ。
『竹谷食堂』付近まで辿り着いたところで、海の先端にモダンな施設が広がっているのを発見した。『海の展望広場』という施設で、海産物の直売所も併設されている。
海辺から小さなアーチ橋で繋がっている弁天島は、海釣り公園となっているようだ。海峡に突出したブリッジは、釣り人にとってはかなり魅力的なロケーションではないかと思う。眺望も良いのでのんびりと見学したいが、空腹に耐えかねて『竹谷食堂』へと急いで向かう。
恐る恐る近づくと・・・営業していた!
店に入ると狭い店内で二人のお婆さんが迎えてくれた。調理と配膳の役割を分担しているらしい。先客は近所の顔馴染みらしいお爺さんが一人だけで、我々が注文してから食べ終えるまでの長い間、随分と親しげに(そして飽きることなく)近所の人たちの噂話に批評に興じていた。完全な地域住民向けの店のようだ。
メニューは二種類で、そのうちの煮魚定食を二人で注文した。盛りつけられた煮魚の種類がまるっきり異なるのは愛嬌ということで。
腹一杯に煮魚を詰め込んで、大阪空港に向けてクルマを走らせる。
フライトに間に合うかが不安だったけど、味気ない高速道路を走ることにも飽きていたので西の海岸にそって伸びる一般道を延々と北上した。前後に走るクルマは少ない。左手でビタと動かず常に遠くに見える、濃い青と少し薄い青が接する水平線をガイドに見立てて、左右の窓を開け放ちながらクルマを風の轟音とともに走らせる。たいへん気持ち良い。
淡路島を北に抜けると、見慣れた神戸の高速道路に入る。20数年前に大阪でバイク便をしていた頃に、遠距離のオーダーが入る度に幾度となく通った道だ。その懐かしさが急に現実に引き戻したのか、淡路島の向こう側が3日前までと同じように別世界に見えた。海を挟んで25年間暮らしていたのに、一度も足を踏み入れることのなかった近くて遠い場所だ。
だがようやく訪れた徳島県は、青も緑も食も豊富な魅力的な土地であることに、45歳近くになってやっと気づいた。次は広島から愛媛に入るかもしれないし、いきなり高知県の空港に降り立つかもしれないけれど、近いうちに四国にまた行こう。
三連休の最終日。鳴門の渦潮を観潮船に乗って観たら、あとは大阪空港までドライブをして帰るだけだ。
この旅を終えてから1ヶ月半以上経つのに、仕事が忙しくなってしまってまだ書き終えられず、前回の投稿は欧州出張の往路のコペンハーゲン行きの機上で書き(投稿できたのはホテルでだが)、この投稿は出張最終日の前日のストックホルムでやっと書き始めた。
村上春樹が『ノルウェイの森』をギリシャとイタリアの小島で書いたことが、少なからず作品に流れるトーンに影響を与えているように、この讃岐うどんと渦潮のことも夏が始まったばかりの北欧の空気の薫りが・・・な〜んて書くとエラくかっこ良すぎるが、渦潮のことも淡路島のことも少しずつ忘れているので、あらかじめエクスキューズということで。
朝飯はご当地グルメの「とくしまバーガー(Wikipedia)」を食べることに。
ホテル近くの交差点に立って何気なく空を見上げたら、デビルマンがアニメのエンディングテーマと同じようにビルの上に座っていた。
「とくしまバーガー」のオフィシャルサイトには認定店のリストが掲載されているが、近所には認定店がなかったのでGIGAZINEの記事を読んで、開店直後のこちらの店へ。
こちらが「とくしま両国バーガー」。
昔ながらの喫茶店という表現がピッタリのノスタルジックな店内には、近所の老人たちの他に常連らしき西洋人のカップルがいたりして、何だか不思議な雰囲気だった。
さっさと食べ終えたらホテルに戻って出発の準備をする。この日は大潮で、昼過ぎに干潮を迎えるとあって大きな渦潮が期待できるのだから、できるだけそのタイミングに間に合わせたい。
道路が空いていたので、干潮の1時間以上前に鳴門観光汽船(公式サイト)の乗り場に到着したが、すぐに乗れる便を1本スキップして干潮タイムにドンピシャな便を待った。
この会社は趣向の異なる2種類の観潮船を運行しているが、今回はガラス越しに水中から渦潮を観られる「アクアエディ」(写真右)ではなく、「わんだーなると」(写真左)をチョイスした。初めての渦潮なので、上からしっかりとグルグルを確認したいので。
なかなか未来的なフォルムの船。瀬戸内海の透き通った海も美しい。
チケット売り場では気付かなかったんだけど、「わんだーなると」は1階が2等で2階が1等船室に分かれている。1等船室の料金は2等(通常料金はこちら)に+1,000円である。1等料金は船に乗り込んでからも現金で買うことができるので、じっくりとグルグルを渦巻きを観察したいオトナは迷わず1等船室をオススメする。
まず物理的な高さのある2階の方が渦巻きの全貌を見やすいし、1階はとにかく混んでいるのでポジションの確保に難があると思う。
静かに出港。強大な渦巻きに引き込まれず無事に帰還できることを祈りつつ。
すぐに大鳴門橋が見えてくる。
大鳴門橋の真下に来る頃には、海面のあちらこちらで白い泡状の海水がザワザワと不規則に動き始めていた。この下では大量の海水がぶつかり合っているのだろう。
まるで豪雨の後の川の流れのように、物凄いスピードで海水が動いている。
ちょうど大鳴門橋の真下で海水がぶつかるようで、大鳴門橋にはガラス張りの床から渦潮を観られる海上遊歩道『渦の道(公式サイト)』がある。
ザワついていた海面の一部に渦巻きが見え始めた。
どどーん!完全な渦巻きが姿を現した。画面奥の船と比べると、その大きさがよ〜くわかる。
渦潮に最接近!!
70mm(フルサイズ)のズームでこのぐらいの大きさに見える程の距離。「落ちたら絶対に死ぬだろうな」なんてことなど考えるヒマもなく夢中でシャッターを切り続けた。
渦潮は生き物のように絶えずその形を変え続ける。
観潮船は位置や向きを忙しなく変えながら、様々な表情の渦潮を見せてくれる。
大鳴門橋の下にいたのは10分ほどだった。渦潮に嬌声を送る乗客たちに構うこと無く、船はさっと港に舳先を向けて渦潮からぐいぐいと離れていった。
港に着いたらすぐにクルマに乗り込み大阪空港を目指す。三連休の最終日とあって高速道路の渋滞が心配だが、腹が減ったのでどこかでランチは取っておきたい。
大鳴門橋の徳島県サイドでは、飲食店が少なかったので淡路島へ渡ることにした。
大鳴門橋で淡路島に渡ってすぐに高速を降りた周囲に飲食店がいくつかあったのだが、駐車場に入るための行列が長く伸びていたので、淡路島の南端にある道の駅へと進路を変更してみた。
道の駅に来てみたら・・・こちらも大混雑しており、随分と手前の駐車場に停めさせられてシャトルバスで移動というシステムになっていた。
これでは何時に食べられるかわからないし、フライトにも間に合わなくなる。食べログをチェックしたら、海岸線沿いに北上した周辺にいくつか飲食店がありそうなので、ダメ元で再び移動することに。(写真はシャトルバスに乗るのを諦めた駐車場から)
10分ほどクルマで移動して食べログにマッピングされた地点で辺りを見回すと・・・そこには民宿が立ち並んでいた。どうやら民宿で供される料理の評価のようだ。この周囲は諦めて、さらに北へと進んだところに1軒だけポツンと示された『竹谷食堂』まで行くことにした。名前から察するに民宿ではあるまい。問題は祝日に営業しているかどうかだ。
『竹谷食堂』付近まで辿り着いたところで、海の先端にモダンな施設が広がっているのを発見した。『海の展望広場』という施設で、海産物の直売所も併設されている。
海辺から小さなアーチ橋で繋がっている弁天島は、海釣り公園となっているようだ。海峡に突出したブリッジは、釣り人にとってはかなり魅力的なロケーションではないかと思う。眺望も良いのでのんびりと見学したいが、空腹に耐えかねて『竹谷食堂』へと急いで向かう。
恐る恐る近づくと・・・営業していた!
店に入ると狭い店内で二人のお婆さんが迎えてくれた。調理と配膳の役割を分担しているらしい。先客は近所の顔馴染みらしいお爺さんが一人だけで、我々が注文してから食べ終えるまでの長い間、随分と親しげに(そして飽きることなく)近所の人たちの噂話に批評に興じていた。完全な地域住民向けの店のようだ。
メニューは二種類で、そのうちの煮魚定食を二人で注文した。盛りつけられた煮魚の種類がまるっきり異なるのは愛嬌ということで。
腹一杯に煮魚を詰め込んで、大阪空港に向けてクルマを走らせる。
フライトに間に合うかが不安だったけど、味気ない高速道路を走ることにも飽きていたので西の海岸にそって伸びる一般道を延々と北上した。前後に走るクルマは少ない。左手でビタと動かず常に遠くに見える、濃い青と少し薄い青が接する水平線をガイドに見立てて、左右の窓を開け放ちながらクルマを風の轟音とともに走らせる。たいへん気持ち良い。
淡路島を北に抜けると、見慣れた神戸の高速道路に入る。20数年前に大阪でバイク便をしていた頃に、遠距離のオーダーが入る度に幾度となく通った道だ。その懐かしさが急に現実に引き戻したのか、淡路島の向こう側が3日前までと同じように別世界に見えた。海を挟んで25年間暮らしていたのに、一度も足を踏み入れることのなかった近くて遠い場所だ。
だがようやく訪れた徳島県は、青も緑も食も豊富な魅力的な土地であることに、45歳近くになってやっと気づいた。次は広島から愛媛に入るかもしれないし、いきなり高知県の空港に降り立つかもしれないけれど、近いうちに四国にまた行こう。