<<<前回の投稿『Okinawa 3/4 ~ レンタカーで『やちむんの里』へ。』はこちら
やちむんの里で雨が降り始めたので、そそくさとレンタカーに乗り込んで残波岬を目指して走り始めた。やちむんの里からは8km程度しか離れておらず、クルマなら「ちょっとそこまで」という距離だ。
交通量の少ない道路を快調に走っていると、残波岬までのルートを示すカーナビの地図に『座喜味城跡』という文字を発見したので立ち寄ることにした。
最近トシのせいか、城(城跡)とか神社、そして郷土資料館に興味が湧いてしまうのです。
座喜味城跡は2000年11月に、首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録されている(Wikipedia)。
しかし・・・人が少ない。というか我々しかいなかった。
何やら西洋の要塞っぽい意匠だが、石垣に近寄ってみると珊瑚石灰岩でできているのが沖縄っぽい。
優美な曲線を描く石垣が美しい。柔らかな珊瑚石灰岩が可能にしたのだろう。たぶん。。
雨がますます激しくなってきたので、ここでも長居することなくクルマに退散!
座喜味城跡から残波岬に着く頃には、誰が見ても「もうしばらくは止まないだろコリャ」というほどの土砂降りになっていた。クルマから降りても写真を撮るどころではないので、残波岬の駐車場でクルマを転回させて来た道を戻り、万座毛へ向かうことにした。万座毛は風光明媚な観光地として名高いし、沖縄の地元の人にも勧められるけれど、今まで一度も行ったことがなかったので。そして「到着する頃には雨が上がっていないかな・・・」という淡い期待を込めて。
万座毛へ行く途中ですっかり腹が減ったので、ザッと検索したところ食べログで点数の高かった『シーサイド ドライブ イン(公式サイト)』で昼食を取ることにした。
ここに来るまでの間、どんどんと雨は激しくなった。ワイパーの動作を最速にしても前が見えないくらいに。
僕は素早く動くワイパーを見ていると笑いが止まらなくなってしまうので、普段は同乗者が心配になるほどワイパーの動きをゆっくりと保つのだが、この日はあまりの雨の激しさで前がロクに見えない不安が増大し、ワイパーを最速にしても全く笑えなかった。
店内はゆったりとしたレイアウトのレトロなインテリア。老若男女の日本人と(恐らく)米国人がテーブルに座っている。
窓際のテーブルに案内してもらったが、あいにくの土砂降りで窓の外は真っ白。天気が良ければ目の前に広がる、エメラルドグリーンの海を堪能できる特等席なのだが。
「ソーキの中華煮込み」定食を頼んだら、まずスープが出てきた。とても美味しい。
このスープはここの名物らしく、テイクアウトで買いに来る地元の人々の列が絶えないそうだ。というのも、NHKの『ドキュメント72時間』(僕も好きな番組だ)でこの店が舞台になっていたことを東京に帰ってから事務所スタッフに教えてもらって、その日にNHKオンデマンドで観て知った。
「チャーメン」。なぜかこの店のメニューはアメリカンとチャイニーズが同居している。
「ソーキの中華煮込み」が登場。テーブルクロスが良い味出してるなぁ。
店の奥にはヴィンテージバイク(400ccの国産車、それもゾク界隈の方々がビクンと反応しそうなニクいやつら)やオモチャが陳列されていて、店主の生い立ちや性格は「ははーん」と想像を掻き立てられたのだが、その中にでーんとジューク・ボックスが鎮座ましましていた。曲のラインナップを覗くと、ロカビリーやらロケンローに並んでキャンディーズの『春一番』や『別れても好きな人』といった懐メロも充実していた。
僕がふんふんと品定めをしている後ろから高校生ぐらいの女の子二人組がやって来てコインをストンと落とし、2曲を選んでさーっと席に戻って行った。共に洋楽で僕の知らない曲だった。
『シーサイド ドライブ イン』を出てクルマに乗り込むも・・・雨はまだまだ止みそうにない。こんな天気の中で万座毛のオーシャンビューを楽しめるわけもないので、予定を変更して島の南東部にある『斎場御嶽(せいふぁうたき)』へ行くことにした。
今までとはほぼ真逆へと進路を変える事になる。
『斎場御嶽(Wikipedia)』の駐車場から知念岬を望む。グレーに霞んでるけど、これでも南国沖縄の景色です。
『シーサイド ドライブ イン』からは高速道路を走ってきたのだが、「このカローラは水陸両用車ですかい」と褒めたくなるほど猛烈な雨だった。でも、沖縄の人はみなゆっくりとワイパーを動かしながらマイペースに走っていた。慣れてるのね。
進路を南西へと変える前にアメダスのアプリをチェックした時には、『斎場御嶽』の周辺は雨が降っていなかったし、実際に知念岬の10kmほど手前から急に晴れ間がさして来た。道路もほとんど濡れておらず、まるで扉をくぐって別の部屋に入ったようだった。
が、『斎場御嶽』の駐車場に入った頃にまた雨が降り始めた・・・。
今日は残波岬からずっと雨に翻弄されてきたし、残りの旅程は空港へと帰るだけなので、ここで諦めるのはなんだか悔しい。はい、負けず嫌いなので。
意を決してクルマを降り、傘を差してポケットにGRだけを入れて『斎場御嶽』へと向かった。
駐車場から『斎場御嶽』の入口までは歩いて10分近くの距離がある。この間にも雨は次第に強くなり始め・・・なんだか今回は雨が強く降り始めてばかりだ・・・こんなに降るとは思わなかったので(しつこいけど)、防水加工のパーカーをクルマに置いて来てしまったのが運の尽きだった。
入り口に着いた頃には膝から下とスニーカーの中がもうずぶ濡れ。
来場者はまず右の部屋で、TVによる注意事項のインストラクションを観ることが義務付けられている。
ところで『斎場御嶽(せーふぁうたき)』の「せーふぁ」は「最高位」を意味である。つまり「斎場御嶽」とは「最高の御嶽」という意味を持つ聖地であり、前述の座喜味城跡と並んで「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に指定されている。
観光バスで運ばれてきた呑気なツーリストが、たとえ悪気がなくとも聖地を穢す行為をするようなことがあっては断じてならない。
この地の概要に関しては南城市のWEBサイトをご覧いただきたい。
聖地に足を踏み入れたら、すぐにぐんぐんと坂を登る。ずぶずぶと服も濡れる。
降雨量の多い土地ゆえか、石畳によって歩道が確保されている。ただ、急な坂道はつるつると滑るため、それなりの靴でないと厳しい。(サンダルを貸し出していたかも)
最奥部の三庫理(さんぐーい)。ここには最も格の高い拝所がある。
ここで関西弁の若い男3人組が、片足で立ちながら手を頭上に伸ばして三角形を作り記念撮影をしていた。
聖地へは閉場時間近くに入場したので、順路を駆け足で巡ってクルマに戻った。ずっと傘はさしていたけれど、シャツもチノパンもスニーカーもぐっしょりと濡れてしまった。気温が20度近くある沖縄だけど、このままでは風邪を引いてしまいそうだ。しかし近くにはユニクロも何もないので、ずぶ濡れのまま飛行機に乗るのか・・・と暗澹たる気持ちになり、夫婦の口論が増え・・・旅のトラブルあるあるですな。
ホントに風邪を引いてはシャレにならないので、クルマのエンジンを掛けてエアコンの温度と風量をMAXにして暖を取った。靴を脱いで中敷きを外し、靴下は足元の噴気孔に押し付けつつ、温風が膝に当たるように靴下の角度を調節する。湿度がMAXの車内でぐんぐんと気温が上昇して頭がボーっとし始めたので時折り窓を開けて換気をするが、そのたびに雨と湿度が容赦なく入って来る。
・・・というズンドコを20分ほど繰り返すうちにほとんどの衣類から水気が失せて、元いた場所へと着直しても気持ち悪くないどころかサッパリと気持ち良くなっていた。
「やっぱクルマってすごいな〜」とバイク乗りは感動せずにいられなかったのです。
気を取り直して、どころかこの日で一番機嫌を良くしてレンタカーを空港まで返却しに行った。当初はおもろまち駅の営業所へ返却する予定だったのだが、那覇空港店に返却しても料金は変わらなかった。
20:45那覇空港発の最終便なのでゆっくりと腹ごしらえ・・・しようと考えていたのだが、時間はすでに19:40を過ぎていた。慌ててファミレスのような飲食店でソーキそばの定食を頼み、出てきた途端にモーレツに胃に押し込んで手荷物検査場へ向かった。あとは飛行機のシートでぐっすりと眠るだけだ。
予定を詰め過ぎずのんびりしに来たはずの沖縄旅行だったが、今日は一日中なにかに(雨だ・・・)追われっぱなしだったなぁ。結果的にドライブをしていただけだ。
でも旅の想い出っていうのは、渋滞中の何気ない車窓の景色やキオスクのオバサンの無愛想な顔みたいな、不安と不安定と美味しいもので構成されているようなもんだから。
まぁ、また来るさ。
やちむんの里で雨が降り始めたので、そそくさとレンタカーに乗り込んで残波岬を目指して走り始めた。やちむんの里からは8km程度しか離れておらず、クルマなら「ちょっとそこまで」という距離だ。
交通量の少ない道路を快調に走っていると、残波岬までのルートを示すカーナビの地図に『座喜味城跡』という文字を発見したので立ち寄ることにした。
最近トシのせいか、城(城跡)とか神社、そして郷土資料館に興味が湧いてしまうのです。
座喜味城跡は2000年11月に、首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録されている(Wikipedia)。
しかし・・・人が少ない。というか我々しかいなかった。
何やら西洋の要塞っぽい意匠だが、石垣に近寄ってみると珊瑚石灰岩でできているのが沖縄っぽい。
優美な曲線を描く石垣が美しい。柔らかな珊瑚石灰岩が可能にしたのだろう。たぶん。。
どの国でも城っていうのは高台の上に建っているものだ。セブン-イレブンの近くにオリジン弁当があるように。
雨がますます激しくなってきたので、ここでも長居することなくクルマに退散!
座喜味城跡から残波岬に着く頃には、誰が見ても「もうしばらくは止まないだろコリャ」というほどの土砂降りになっていた。クルマから降りても写真を撮るどころではないので、残波岬の駐車場でクルマを転回させて来た道を戻り、万座毛へ向かうことにした。万座毛は風光明媚な観光地として名高いし、沖縄の地元の人にも勧められるけれど、今まで一度も行ったことがなかったので。そして「到着する頃には雨が上がっていないかな・・・」という淡い期待を込めて。
万座毛へ行く途中ですっかり腹が減ったので、ザッと検索したところ食べログで点数の高かった『シーサイド ドライブ イン(公式サイト)』で昼食を取ることにした。
ここに来るまでの間、どんどんと雨は激しくなった。ワイパーの動作を最速にしても前が見えないくらいに。
僕は素早く動くワイパーを見ていると笑いが止まらなくなってしまうので、普段は同乗者が心配になるほどワイパーの動きをゆっくりと保つのだが、この日はあまりの雨の激しさで前がロクに見えない不安が増大し、ワイパーを最速にしても全く笑えなかった。
店内はゆったりとしたレイアウトのレトロなインテリア。老若男女の日本人と(恐らく)米国人がテーブルに座っている。
窓際のテーブルに案内してもらったが、あいにくの土砂降りで窓の外は真っ白。天気が良ければ目の前に広がる、エメラルドグリーンの海を堪能できる特等席なのだが。
「ソーキの中華煮込み」定食を頼んだら、まずスープが出てきた。とても美味しい。
このスープはここの名物らしく、テイクアウトで買いに来る地元の人々の列が絶えないそうだ。というのも、NHKの『ドキュメント72時間』(僕も好きな番組だ)でこの店が舞台になっていたことを東京に帰ってから事務所スタッフに教えてもらって、その日にNHKオンデマンドで観て知った。
「チャーメン」。なぜかこの店のメニューはアメリカンとチャイニーズが同居している。
「ソーキの中華煮込み」が登場。テーブルクロスが良い味出してるなぁ。
店の奥にはヴィンテージバイク(400ccの国産車、それもゾク界隈の方々がビクンと反応しそうなニクいやつら)やオモチャが陳列されていて、店主の生い立ちや性格は「ははーん」と想像を掻き立てられたのだが、その中にでーんとジューク・ボックスが鎮座ましましていた。曲のラインナップを覗くと、ロカビリーやらロケンローに並んでキャンディーズの『春一番』や『別れても好きな人』といった懐メロも充実していた。
僕がふんふんと品定めをしている後ろから高校生ぐらいの女の子二人組がやって来てコインをストンと落とし、2曲を選んでさーっと席に戻って行った。共に洋楽で僕の知らない曲だった。
『シーサイド ドライブ イン』を出てクルマに乗り込むも・・・雨はまだまだ止みそうにない。こんな天気の中で万座毛のオーシャンビューを楽しめるわけもないので、予定を変更して島の南東部にある『斎場御嶽(せいふぁうたき)』へ行くことにした。
今までとはほぼ真逆へと進路を変える事になる。
『斎場御嶽(Wikipedia)』の駐車場から知念岬を望む。グレーに霞んでるけど、これでも南国沖縄の景色です。
『シーサイド ドライブ イン』からは高速道路を走ってきたのだが、「このカローラは水陸両用車ですかい」と褒めたくなるほど猛烈な雨だった。でも、沖縄の人はみなゆっくりとワイパーを動かしながらマイペースに走っていた。慣れてるのね。
進路を南西へと変える前にアメダスのアプリをチェックした時には、『斎場御嶽』の周辺は雨が降っていなかったし、実際に知念岬の10kmほど手前から急に晴れ間がさして来た。道路もほとんど濡れておらず、まるで扉をくぐって別の部屋に入ったようだった。
が、『斎場御嶽』の駐車場に入った頃にまた雨が降り始めた・・・。
今日は残波岬からずっと雨に翻弄されてきたし、残りの旅程は空港へと帰るだけなので、ここで諦めるのはなんだか悔しい。はい、負けず嫌いなので。
意を決してクルマを降り、傘を差してポケットにGRだけを入れて『斎場御嶽』へと向かった。
駐車場から『斎場御嶽』の入口までは歩いて10分近くの距離がある。この間にも雨は次第に強くなり始め・・・なんだか今回は雨が強く降り始めてばかりだ・・・こんなに降るとは思わなかったので(しつこいけど)、防水加工のパーカーをクルマに置いて来てしまったのが運の尽きだった。
入り口に着いた頃には膝から下とスニーカーの中がもうずぶ濡れ。
来場者はまず右の部屋で、TVによる注意事項のインストラクションを観ることが義務付けられている。
ところで『斎場御嶽(せーふぁうたき)』の「せーふぁ」は「最高位」を意味である。つまり「斎場御嶽」とは「最高の御嶽」という意味を持つ聖地であり、前述の座喜味城跡と並んで「琉球王国のグスク及び関連遺産群」に指定されている。
観光バスで運ばれてきた呑気なツーリストが、たとえ悪気がなくとも聖地を穢す行為をするようなことがあっては断じてならない。
この地の概要に関しては南城市のWEBサイトをご覧いただきたい。
聖地に足を踏み入れたら、すぐにぐんぐんと坂を登る。ずぶずぶと服も濡れる。
降雨量の多い土地ゆえか、石畳によって歩道が確保されている。ただ、急な坂道はつるつると滑るため、それなりの靴でないと厳しい。(サンダルを貸し出していたかも)
最奥部の三庫理(さんぐーい)。ここには最も格の高い拝所がある。
ここで関西弁の若い男3人組が、片足で立ちながら手を頭上に伸ばして三角形を作り記念撮影をしていた。
聖地へは閉場時間近くに入場したので、順路を駆け足で巡ってクルマに戻った。ずっと傘はさしていたけれど、シャツもチノパンもスニーカーもぐっしょりと濡れてしまった。気温が20度近くある沖縄だけど、このままでは風邪を引いてしまいそうだ。しかし近くにはユニクロも何もないので、ずぶ濡れのまま飛行機に乗るのか・・・と暗澹たる気持ちになり、夫婦の口論が増え・・・旅のトラブルあるあるですな。
ホントに風邪を引いてはシャレにならないので、クルマのエンジンを掛けてエアコンの温度と風量をMAXにして暖を取った。靴を脱いで中敷きを外し、靴下は足元の噴気孔に押し付けつつ、温風が膝に当たるように靴下の角度を調節する。湿度がMAXの車内でぐんぐんと気温が上昇して頭がボーっとし始めたので時折り窓を開けて換気をするが、そのたびに雨と湿度が容赦なく入って来る。
・・・というズンドコを20分ほど繰り返すうちにほとんどの衣類から水気が失せて、元いた場所へと着直しても気持ち悪くないどころかサッパリと気持ち良くなっていた。
「やっぱクルマってすごいな〜」とバイク乗りは感動せずにいられなかったのです。
気を取り直して、どころかこの日で一番機嫌を良くしてレンタカーを空港まで返却しに行った。当初はおもろまち駅の営業所へ返却する予定だったのだが、那覇空港店に返却しても料金は変わらなかった。
20:45那覇空港発の最終便なのでゆっくりと腹ごしらえ・・・しようと考えていたのだが、時間はすでに19:40を過ぎていた。慌ててファミレスのような飲食店でソーキそばの定食を頼み、出てきた途端にモーレツに胃に押し込んで手荷物検査場へ向かった。あとは飛行機のシートでぐっすりと眠るだけだ。
予定を詰め過ぎずのんびりしに来たはずの沖縄旅行だったが、今日は一日中なにかに(雨だ・・・)追われっぱなしだったなぁ。結果的にドライブをしていただけだ。
でも旅の想い出っていうのは、渋滞中の何気ない車窓の景色やキオスクのオバサンの無愛想な顔みたいな、不安と不安定と美味しいもので構成されているようなもんだから。
まぁ、また来るさ。