2011年の秋ごろにネットメディアのROCKET NEWS24で「日本で一番行きにくい場所にある人気ラーメン店」という記事で紹介された『アリランラーメン・らーめん八平(公式サイト)』。(姉妹メディアのPOUCHでも2013年に記事化されている)
実際に“日本で一番行きにくい場所”かどうかはわからないが、公共交通機関を利用する場合に限定するならば、行列のできる人気ラーメン店の中では日本でもトップクラスにアクセスの悪い場所にあるのではないだろうか。
アクセスの悪さの他に、「年老いたお婆さんと孫娘が一生懸命切り盛りしている」店内の様子や、「山の中にぽつんと建つ古民家」を利用した店構え、「ネギとニンニクがどっさりと入っている」かなり濃くて独特な味付け、「前の人と同じスープを頼まなくてはならない」暗黙のルール(真偽の程は不明)等々、SNS界隈でバズらせるには格好の要素が詰まっていることもあり、僕のSNS友達の間でもにわかに盛り上がったものだ。
が、僕の知る限りではまだ誰も行ったことは無いようだが。
※今回の写真は全てRICOH GRで撮りました
僕が初めて「らーめん八平」を訪れたのは、記事を読んでからちょうど2年後の2013年の秋のことだ。買ったばかりのスーパーシェルパで房総半島の林道を軽くツーリングしている途中で腹が減り、「あれ、あのラーメン屋ってこの近くじゃなかったっけ?」と思い出して、iPhoneで検索して向かったのだった。今回はそれ以来、2年ぶりの再訪となる。
「日本で一番行きにくい」といっても、その周囲には房総半島の観光スポットが点在しているので、ツーリングやドライブの一部に組み入れることは難儀ではない。
ということで、まず初めに今回のツーリングのルートを。
アルファベットが2種類あってわかりにくいんだけど、赤から始まる色が付いたアルファベット(ポイント)の順番に走った。
青地に白抜きのアルファベットは、各ポイント間のルート検索のための設定ポイント。ルートが幾つかレイヤーに分かれているんだけど、それぞれが「A」から始まるので表示がややこしい。文字と線が色分けできれば良いのにね。
詳しくは地図左上のメニューをクリックして展開していただくと、レイヤーの非表示などの操作ができます。
まずは自宅からアクアラインを経由してポイントAの「市原鶴舞インターチェンジ」まで行き、ポイントBの「らーめん八平」を目指す。
カーナビ(アプリ)やGoogleマップのナビゲーション通りに走ると、(今のところ)絶対に迷ってしまう。1回目に来た時は、Googleマップが示す地点には何もなく、仕方なくバイクを置いて歩きまわったりと、この近辺だけで30分近くウロウロした。ブログやネット記事を見ても、迷う人が多いようだ。
そのせいか、現在ではGoogleマップを拡大すると「らーめん八平の入り口」というスポットがマッピングされている。その「らーめん八平の入り口」から『らーめん八平』を望む。
到着したのは12時ちょうど。だが、すでに40〜50人は並んでいた。。
写真左側がラーメン店で、右の建物では餃子を焼いたりかき氷や飲み物を売る男性がひとりいる。ラーメン店の左側には、アルプスのロッジ風の立派な民家が隣接していた。おそらくラーメン御殿だろうな、と下世話な想像を巡らすなど。
ツーリング途中のライダーが多い。ライダーってB級グルメと温泉が大好物なんだよね。
店内の席数から簡単に計算すると、少なくとも1時間以上は並ぶことになるだろう。
しかし、20分ほど待ってもなかなか行列は前に進まない。僕の後ろに並んでいた地元の男たちは、携帯で友人や家族と連絡を取りながら「牛久の本店まで行ったほうが早く食べられるよね。味もあっちの方が美味しいしな!」なんて言いながら、行列を早々に離脱して店を去って行った。
自分もこの店は諦めて他へ移動しようかどうか迷ったけど、「行列を忌避してあちこち探し歩いた結果、そのまま並んでた方が早かったやんけ」という経験的が往々にしてあるので、おとなしく待つことにした。これが学びというものだ。
それからiPhoneのKindleに入れていた本を読んで時間をつぶしながら1時間近く経過。。行列も3分の1ほどを過ぎたところで、ようやく椅子に座れるエリアまで来た。
店内をのぞくと、まだラーメンが運ばれていない客が半分以上いる。どうやら、一度に6〜10人分のオーダーを受けて、それらをまとめて調理してお客に行き渡ったら、また次のオーダーを受ける、というシステムのようだ。たしかに厨房はとても小さい。
並び始めてちょうど2時間が経ったところでやっと入店できた。店の隣で焼いている餃子を(そこまで歩いて)自分で買ったら、ここに持ち込んで食べることができるが、いつラーメンにありつけるかを予測しがたいため、餃子までを頼む客は少ない。
席についてから20分ほどして、ようやく注文を聞いてくれた。
頼んだラーメンが目の前に置かれたのは、並び始めて2時間40分後。つまり160分後であり、9,600秒後である。その間にiPhoneのバッテリーは60%近く消耗していた。並び始めてすぐに判断していれば、勝浦まで行って海鮮丼を食べた後にまたココに戻って来ることもできただろう。
オーダーしたのは「アリランチャーシューの辛口(並盛り)」。うっすらとラー油が掛けられているが、大辛をオーダーしている客もいた。まだ2回目の来訪だが、味噌味を頼んでいる人を見たことがない。
チャーシューの下にはゴロゴロとしたネギとニンニクがどっさり。という記憶があったのだが、2年前に較べてずいぶんと小ぶりな印象が。前回も同じ分量だったのに印象が強烈だったために記憶の中で肥大化したのか、少しずつ洗練されて実際に小さくなっているのかはわからない。
味はしっかりと濃く、浸透圧で体内の水分が持って行かれそうな塩辛さはある。しかしそれ以上の旨味が塊のように押し寄せてくるので、何だか知らないけど味の均衡が取れているような感じ。とにかく、僕にとっては他に似たような味は食べたことがない唯一無二なラーメンではある。
やっとのことで腹もいっぱいになったので、養老渓谷へ向かうことにした。
ちょうど彼岸花が勢いよく咲いている時期で、田んぼの周りで整列したり、等間隔に並んでいたりと、真っ赤な花がヘルメットのシールド越しの目を楽しませてくれた。
彼岸花が全く咲いていない田んぼも多かったので、これはきっと農家の方々が植えているんだろうね。
山道をすいすいと走って、あっという間に養老渓谷駅へ(ポイントC)。いつもと比べると人影はまばらで、しーんと静まり返っている。あれ、紅葉シーズンの前だからかな?と推測したんだけど、それもそのはず、(家に帰ってから知ったのだが)2週間ほど前に関東を襲った豪雨の影響で、小湊鉄道の月崎駅〜上総中野駅間の運転がまだ見合わせられていた。
少し時間があるので、この後のプランを考えるために養老渓谷観光センター(ポイントD)へ行くことにした。
豪雨の後に走行していないせいか、線路もひどく錆び付いている。いや、元からこの程度なのかもしれない。
踏切から南側を望む。鉄道の運行は止まっているのに、踏切を渡るクルマは皆ちゃんと一旦停止をしていた。
養老渓谷観光センター(ポイントD)の駐車場。房総半島の山間では、いたるところで様々な角度の地層が現れている。
地元の農家の方がつくった蜂蜜と最後まで迷ったが、今回のお土産は栗にした。
せっかく養老渓谷まで来たので、今まで観ようと思いつつも叶わなかった、「川廻し」の痕跡を訪ねようと思い立って少しだけ北上。「川廻し」とは、江戸時代に農地を開拓するために蛇行した河川を人工的に短絡させたという、なんとも壮大なスケールの造成工事であり、今日の千葉の農業を発展させた偉大な事業なのだが、詳しくはググってください。
ちょうどポイントCとポイントDの間にある温泉旅館街にバイクを止めて、中洲の遊歩道へと降りてゆく。
またもや地層がドン。
地図を観ながらキャンプ場を抜けて南下するも、川廻しの現場まで歩くと時間がかかりそうだし、日も暮れてきたのであっさりと諦めてバイクに戻った。養老渓谷駅の近くから林道を通って北上するつもりだったので、陽が明るいうちに圏央道には戻っておきたいので。
一人で林道に入るならば、用心するに越したことはない。
県道81号線を北上し、養老渓谷駅の少し南側にある細い道をぐいぐいと西に入り、林道女ヶ倉(めがくら)線から大福山を目指す。林道と言っても今回のルートは全て舗装されているので、スリルはあまりないけど林道ビギナーの僕には安心な道だ。
尾根伝いからの眺望。
途中の道では、刈った稲をガードレールで干していた。
大福山を右折して林道万田野線から大信山線を経由し、市民の森を右手に見ながら(実際には見えない)粛々と北上する。
ほとんど誰ともすれ違うこと無く、淡々と山の間を走っていく。このまま何10kmでも走り続けられるほど気持ち良い。日本の田舎道を走り抜けるには、250ccぐらいがちょうど良いんだよね。
大信山線の途中で日が沈んだ。
わぁきれい。とシャッターを切りながらも、街灯なんてひとつもない林道から闇が視界を失わせていくことにゾッとする。早くこの山を超えて人里まで辿り着かなければ。そんな焦りで少しペースを上げるも、先日の豪雨で剥がされた山肌が時折り路面を茶色く染めていることを、ヘッドライトが照らす画面の中に確認しながらペースを落とす。それを何度も繰り返して走る。
マジックアワーがまだ人里を青く染めている間に168号線を経て、久留里街道にぽつんと建つガソリンスタンドで給油することができた。田舎道では日曜日に営業するガソリンスタンドが少ないので、営業していることを示す看板の灯りがまるでオアシスのように見えるんだよね。
自宅近くでリセットしたオドメーターは145kmを刻んでおり、通常なら東京までガソリンが厳しいと焦っていたのだが、久留里街道で満タンにしたところで計算すると燃費が過去最高の36km/lを記録していた。連休のせいで高速道路が渋滞していたせいかもしれない。。
そこから木更津金田インターチェンジまでは下道で走ったのだが、さっきまで走っていた林道や農村部とは打って変わって、四輪車ではびたりとも動けないほどの酷い渋滞に辟易した。まぁ、バイクに乗っていると「四輪車の皆さま、ご苦労さまです」という感じだけどね。
房総半島はまだまだ開拓の余地がありまっせ。
実際に“日本で一番行きにくい場所”かどうかはわからないが、公共交通機関を利用する場合に限定するならば、行列のできる人気ラーメン店の中では日本でもトップクラスにアクセスの悪い場所にあるのではないだろうか。
アクセスの悪さの他に、「年老いたお婆さんと孫娘が一生懸命切り盛りしている」店内の様子や、「山の中にぽつんと建つ古民家」を利用した店構え、「ネギとニンニクがどっさりと入っている」かなり濃くて独特な味付け、「前の人と同じスープを頼まなくてはならない」暗黙のルール(真偽の程は不明)等々、SNS界隈でバズらせるには格好の要素が詰まっていることもあり、僕のSNS友達の間でもにわかに盛り上がったものだ。
が、僕の知る限りではまだ誰も行ったことは無いようだが。
※今回の写真は全てRICOH GRで撮りました
僕が初めて「らーめん八平」を訪れたのは、記事を読んでからちょうど2年後の2013年の秋のことだ。買ったばかりのスーパーシェルパで房総半島の林道を軽くツーリングしている途中で腹が減り、「あれ、あのラーメン屋ってこの近くじゃなかったっけ?」と思い出して、iPhoneで検索して向かったのだった。今回はそれ以来、2年ぶりの再訪となる。
「日本で一番行きにくい」といっても、その周囲には房総半島の観光スポットが点在しているので、ツーリングやドライブの一部に組み入れることは難儀ではない。
ということで、まず初めに今回のツーリングのルートを。
アルファベットが2種類あってわかりにくいんだけど、赤から始まる色が付いたアルファベット(ポイント)の順番に走った。
青地に白抜きのアルファベットは、各ポイント間のルート検索のための設定ポイント。ルートが幾つかレイヤーに分かれているんだけど、それぞれが「A」から始まるので表示がややこしい。文字と線が色分けできれば良いのにね。
詳しくは地図左上のメニューをクリックして展開していただくと、レイヤーの非表示などの操作ができます。
まずは自宅からアクアラインを経由してポイントAの「市原鶴舞インターチェンジ」まで行き、ポイントBの「らーめん八平」を目指す。
カーナビ(アプリ)やGoogleマップのナビゲーション通りに走ると、(今のところ)絶対に迷ってしまう。1回目に来た時は、Googleマップが示す地点には何もなく、仕方なくバイクを置いて歩きまわったりと、この近辺だけで30分近くウロウロした。ブログやネット記事を見ても、迷う人が多いようだ。
そのせいか、現在ではGoogleマップを拡大すると「らーめん八平の入り口」というスポットがマッピングされている。その「らーめん八平の入り口」から『らーめん八平』を望む。
到着したのは12時ちょうど。だが、すでに40〜50人は並んでいた。。
写真左側がラーメン店で、右の建物では餃子を焼いたりかき氷や飲み物を売る男性がひとりいる。ラーメン店の左側には、アルプスのロッジ風の立派な民家が隣接していた。おそらくラーメン御殿だろうな、と下世話な想像を巡らすなど。
ツーリング途中のライダーが多い。ライダーってB級グルメと温泉が大好物なんだよね。
店内の席数から簡単に計算すると、少なくとも1時間以上は並ぶことになるだろう。
しかし、20分ほど待ってもなかなか行列は前に進まない。僕の後ろに並んでいた地元の男たちは、携帯で友人や家族と連絡を取りながら「牛久の本店まで行ったほうが早く食べられるよね。味もあっちの方が美味しいしな!」なんて言いながら、行列を早々に離脱して店を去って行った。
自分もこの店は諦めて他へ移動しようかどうか迷ったけど、「行列を忌避してあちこち探し歩いた結果、そのまま並んでた方が早かったやんけ」という経験的が往々にしてあるので、おとなしく待つことにした。これが学びというものだ。
それからiPhoneのKindleに入れていた本を読んで時間をつぶしながら1時間近く経過。。行列も3分の1ほどを過ぎたところで、ようやく椅子に座れるエリアまで来た。
店内をのぞくと、まだラーメンが運ばれていない客が半分以上いる。どうやら、一度に6〜10人分のオーダーを受けて、それらをまとめて調理してお客に行き渡ったら、また次のオーダーを受ける、というシステムのようだ。たしかに厨房はとても小さい。
並び始めてちょうど2時間が経ったところでやっと入店できた。店の隣で焼いている餃子を(そこまで歩いて)自分で買ったら、ここに持ち込んで食べることができるが、いつラーメンにありつけるかを予測しがたいため、餃子までを頼む客は少ない。
席についてから20分ほどして、ようやく注文を聞いてくれた。
頼んだラーメンが目の前に置かれたのは、並び始めて2時間40分後。つまり160分後であり、9,600秒後である。その間にiPhoneのバッテリーは60%近く消耗していた。並び始めてすぐに判断していれば、勝浦まで行って海鮮丼を食べた後にまたココに戻って来ることもできただろう。
オーダーしたのは「アリランチャーシューの辛口(並盛り)」。うっすらとラー油が掛けられているが、大辛をオーダーしている客もいた。まだ2回目の来訪だが、味噌味を頼んでいる人を見たことがない。
チャーシューの下にはゴロゴロとしたネギとニンニクがどっさり。という記憶があったのだが、2年前に較べてずいぶんと小ぶりな印象が。前回も同じ分量だったのに印象が強烈だったために記憶の中で肥大化したのか、少しずつ洗練されて実際に小さくなっているのかはわからない。
味はしっかりと濃く、浸透圧で体内の水分が持って行かれそうな塩辛さはある。しかしそれ以上の旨味が塊のように押し寄せてくるので、何だか知らないけど味の均衡が取れているような感じ。とにかく、僕にとっては他に似たような味は食べたことがない唯一無二なラーメンではある。
やっとのことで腹もいっぱいになったので、養老渓谷へ向かうことにした。
ちょうど彼岸花が勢いよく咲いている時期で、田んぼの周りで整列したり、等間隔に並んでいたりと、真っ赤な花がヘルメットのシールド越しの目を楽しませてくれた。
彼岸花が全く咲いていない田んぼも多かったので、これはきっと農家の方々が植えているんだろうね。
山道をすいすいと走って、あっという間に養老渓谷駅へ(ポイントC)。いつもと比べると人影はまばらで、しーんと静まり返っている。あれ、紅葉シーズンの前だからかな?と推測したんだけど、それもそのはず、(家に帰ってから知ったのだが)2週間ほど前に関東を襲った豪雨の影響で、小湊鉄道の月崎駅〜上総中野駅間の運転がまだ見合わせられていた。
少し時間があるので、この後のプランを考えるために養老渓谷観光センター(ポイントD)へ行くことにした。
豪雨の後に走行していないせいか、線路もひどく錆び付いている。いや、元からこの程度なのかもしれない。
踏切から南側を望む。鉄道の運行は止まっているのに、踏切を渡るクルマは皆ちゃんと一旦停止をしていた。
養老渓谷観光センター(ポイントD)の駐車場。房総半島の山間では、いたるところで様々な角度の地層が現れている。
地元の農家の方がつくった蜂蜜と最後まで迷ったが、今回のお土産は栗にした。
せっかく養老渓谷まで来たので、今まで観ようと思いつつも叶わなかった、「川廻し」の痕跡を訪ねようと思い立って少しだけ北上。「川廻し」とは、江戸時代に農地を開拓するために蛇行した河川を人工的に短絡させたという、なんとも壮大なスケールの造成工事であり、今日の千葉の農業を発展させた偉大な事業なのだが、詳しくはググってください。
ちょうどポイントCとポイントDの間にある温泉旅館街にバイクを止めて、中洲の遊歩道へと降りてゆく。
またもや地層がドン。
地図を観ながらキャンプ場を抜けて南下するも、川廻しの現場まで歩くと時間がかかりそうだし、日も暮れてきたのであっさりと諦めてバイクに戻った。養老渓谷駅の近くから林道を通って北上するつもりだったので、陽が明るいうちに圏央道には戻っておきたいので。
一人で林道に入るならば、用心するに越したことはない。
県道81号線を北上し、養老渓谷駅の少し南側にある細い道をぐいぐいと西に入り、林道女ヶ倉(めがくら)線から大福山を目指す。林道と言っても今回のルートは全て舗装されているので、スリルはあまりないけど林道ビギナーの僕には安心な道だ。
尾根伝いからの眺望。
途中の道では、刈った稲をガードレールで干していた。
大福山を右折して林道万田野線から大信山線を経由し、市民の森を右手に見ながら(実際には見えない)粛々と北上する。
ほとんど誰ともすれ違うこと無く、淡々と山の間を走っていく。このまま何10kmでも走り続けられるほど気持ち良い。日本の田舎道を走り抜けるには、250ccぐらいがちょうど良いんだよね。
大信山線の途中で日が沈んだ。
わぁきれい。とシャッターを切りながらも、街灯なんてひとつもない林道から闇が視界を失わせていくことにゾッとする。早くこの山を超えて人里まで辿り着かなければ。そんな焦りで少しペースを上げるも、先日の豪雨で剥がされた山肌が時折り路面を茶色く染めていることを、ヘッドライトが照らす画面の中に確認しながらペースを落とす。それを何度も繰り返して走る。
マジックアワーがまだ人里を青く染めている間に168号線を経て、久留里街道にぽつんと建つガソリンスタンドで給油することができた。田舎道では日曜日に営業するガソリンスタンドが少ないので、営業していることを示す看板の灯りがまるでオアシスのように見えるんだよね。
自宅近くでリセットしたオドメーターは145kmを刻んでおり、通常なら東京までガソリンが厳しいと焦っていたのだが、久留里街道で満タンにしたところで計算すると燃費が過去最高の36km/lを記録していた。連休のせいで高速道路が渋滞していたせいかもしれない。。
そこから木更津金田インターチェンジまでは下道で走ったのだが、さっきまで走っていた林道や農村部とは打って変わって、四輪車ではびたりとも動けないほどの酷い渋滞に辟易した。まぁ、バイクに乗っていると「四輪車の皆さま、ご苦労さまです」という感じだけどね。
房総半島はまだまだ開拓の余地がありまっせ。