diary 〜 ビザ延長祝い

僕が経営している会社はグラフィックアーティストのマネジメントとコーディネイトを生業としているのだが、今年の春もまた専属でマネジメントしている外国人イラストレーター(日本在住)のビザ(PizzaではなくVISA)の滞留期限が迫っていた。弊社には数年前から外国人の作家が所属しているし、海外に在住している日本人作家もいるので、毎年このビザ更新問題が発生する。
当局が認めるビザの滞留期限によって「日本に住んで仕事ができるのが、これからあと3年あるのか or 1年しかないのか」で人生設計は大きく変わる。ましてや、延長の許可が降りなければ即座に本国へと戻らなければならない。当たり前だけど、これは当事者にとっては生活と人生における大問題なのである。

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滞留期限の2ヶ月以上前から申請書類の準備を始めたのだが、今回は弊社が彼女(ビザの申請をする作家だ)のメインスポンサー企業となるので、いつもより多くの書類を用意する必要があった。とは言え、実際の申請業務とアドヴァイズは専門の法律事務所(行政書士のようだが、外国人作家たちはLawyerと呼んでいる)が執り行い、必要な添付書類の作成を弊社が行う。
外国人作家のメインスポンサーとなるのは会社創立以来初めての事だったので、いつもは必要のない書類の作成に戸惑うこともあったし手間も掛かったが、何よりも弊社の規模(総勢2名とアルバイト1名)と実績(会社設立11年目だけど売上は・・・)で当局が滞留ビザの延長を認めてくれるかどうかが大きな不安だった。今までは大手英会話教室がメインスポンサーとなっていたにも関わらず、1年の滞留許可しか得られなかったこともあったので。

ただ幸いなことに、直近の半年間に彼女が大きな仕事をいくつか手掛けていたこともあり、数値的にも推薦文的にも悪くない内容の書類をつくることはできた。そんな(少なくはない)書類をまとめて提出し、朗報を祈ったりヤキモキしたりしながら過ごして・・・少し忘れかけていた約8週間後に当局からの返事が届いた。

届いた通知内容は、なんと3年の延長許可!

正直言って彼女も僕も1年の延長すら許可されない可能性も想定していたので(どちらも楽観的な性格ではないのだ)、3年の延長は完全なサプライズだった。溢れる安堵と驚嘆をLINEで分かち合い、祝杯を上げる日取りを決めた。

彼女と待ち合わせたのは神泉の『開花屋(公式サイト)』。相模湾直送の新鮮な魚介類を使った創作料理が人気で、いつも多くの客(特に外国人)で賑わっている。ここの定番メニューの「鮮魚のカルパッチョ」と「雑魚のグリル(上の写真)」と「海老のえびによるエビソース」はとても美味しくて毎回必ず頼むことにしている。
まずは乾杯。これからまた今まで通りに仕事ができることを二人で祝し、個人的には当局が弊社をメインスポンサーとして認めてくれたことも祝いつつ。しかし祝杯ムードもそこそこに、目の前にぽっかりと現れた東京での3年間に対して彼女が感じている夢や不安、悩みなどを3時間にわたって率直に語り合った。もちろん、近況報告や他愛のない世間話を積み重ねるよりは、遙かに有意義な時間だった。

ラストオーダーで頼んだアイスを食べ終えたところで、会計をしたいとホールスタッフに告げる。いつも通り僕が払おうとすると、「今夜は私が払う。だって私のビザのために一生懸命に書類を作ってくれたKenjiに、お礼をするためのディナーだから」ときっぱりと言ってくれたので、遠慮せずにありがたく受け取った。

さっき「いつも通り」と書いたけど、実は彼女はちゃんとした理由がないとなかなか食事を奢らせてくれない。いつも「まあまあ、日本では年上が払うもんだから」と言いながら会計を済ませてしまうと、「次は私の番だ」と困った顔をしながら返答し、そして大きな仕事を終えたら打ち上げと称してディナーに誘ってくれる。これは欧米流のフェアネス精神かもしれないし、彼女のご両親の教えなのかもしれない。

そうして彼女と逢って話をする度に、直近の仕事のお礼だけでなく、「今こうして東京で絵を描く仕事が出来ているのは、あなたが自分のことを受け入れて、拾い上げてくれたお陰だ」とちゃんと言ってくれる。メールやLINEでもだ。
僕としては「過去のことはもう良いからさ、これからのコトだけを考えようよ」とカッコを付けてキリッと言いたいところなんだけど、英語で上手く伝えるスキルがないし、他に言ってくれる人もいないので(←卑屈になるなよ)、毎度ありがたく頂戴しつつ「この気持に応えねば」と襟を正そうとしている。

さて、次は僕が彼女をディナーに誘う番だ。
良い仕事をしなくては。

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