GMT MASTER II 〜 ガラスの王冠

大学を卒業して2年間ほどプータローをしていた頃に、時計職人になりたくて日本ロレックスへ履歴書を送ったことがある。当時は募集をしていたワケではなかったので、当然のことながら返事は来なかったんだけど。

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当時は会社に就職をしたくなかったのと、なにか手に職を付けたいという一心から公認会計士とパイロットを目指したものの、あえなく試験に落ちてプータローになった。じゃあほかに何かないのかと考え抜いて、最終的に刀鍛冶と迷った挙句に時計職人を選んだのだ。我ながら随分と迷走していたと思うけど、IT化とグローバル化が猛烈な勢いで進行する今後の労働市場においては、もしかしたら先見の明があったのかもしれない。
それにしても大学を卒業する時点で、自分の人生を決める仕事を見つけるのって難しいよね。がんばれ就活生。

送った履歴書への返事がなかったことでROLEXに悪意を抱くことはなく、相変わらずその見飽きないデザイン(個人差あり)や堅牢な構造とブランドストーリーに惚れ込んでいたので、いつかは手に入れたいと願って過ごしていた。その中でも飛行機をこよなく愛する自分にはGMTマスター、できれば短針のみを1時間単位で動かせる精緻な機構のGMTマスター2(16710)しかないと。

この時計に相応しいと思える人間になれないまま20年以上が過ぎてしまったのだが、会社を創業して10周年を迎える年(2013年)に思い切って中古で買うことにした。買う前にファッション系の雑誌で時計ライターをしていたK嬢にどう思うかと尋ねたところ、思った以上に、というか呪詛にも似た強い反発を受けたのだが、そんな呪いには微塵も怯むことなく買いましたとも。えぇ。どうやらROLEXは非ファッショナブルなブランドらしい。(しかしK嬢は優しい娘なので、買った後には「似合ってるね」と言ってくれている)

ところで、コピー商品が多数出回るROLEXには真贋を確認するためのポイントがいくつかあるのだが、文字盤の透かし(サファイアガラスに王冠マークがレーザーで小さく彫られている)もその一つとして知られている(2003年モデル以降)。しかしこれが肉眼ではほとんど見えないので、中古で買った当人はヤキモキしてしまう。キズミルーペが手元にあれば簡単に見えるんだけど、もしマクロ撮影ができるカメラがあれば(うまく行けば)写真で確認することもできる。

ということで今回は、先日買ったZeissのMakro-Planar T* 2/50(公式サイト)がハーフマクロで撮影できるので、iPhone6のストロボライトを付けっ放しにして 角度を変えながら撮影してみた。

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なんとか写った。と同時に文字盤の夜光塗料の劣化も確認。。

余談だけどこの時計を買った後に、アベノミクスによる中古市場の高騰と円安の影響で、同モデルが3割ほど上がっているようだ。
良い時に買ったと自賛しつつも、この時計を手放さなくて済むように仕事を頑張らねば・・・という気持ちになってしまう。